インバスケット対策

インバスケットの目的 管理者としての行動傾向を診断する演習です。

例えば、あなたは管理者として「鬼の〇〇」といった厳しい上司か「仏の〇〇」というような優しい上司かを診断します。あなたはどちらに評価されたいですか。どちらがいい上司だと思いますか。
これだけでは難しいですよね。業績を上げている管理者は厳しくても人情の機微を分かっている、優しくても時には厳しい一面を見せます。インバスケットは厳しいか、優しいかを評価しますが、二者択一的な単純な評価ではありません。ですから事前に誰かから「〇〇のような案件では〇〇のように指示しろ」といったアドバイスをもらって演習をするとその案件の処理自体はともかく、全体の処理としては鬼と仏の上司が同居しているような訳のわからない、何をしたいのか方針や方向性のない処理になることがあります。これではインバスケットを見る限り管理者は難しいという評価になってしまいます。
事前準備は必要ですが、それは「正解(のようなもの)」を覚えるのではなく、いつでも管理者として仕事ができる能力を身につけてインバスケットに取り組むことが正しい準備活動になります。

演習概要:インバスケット(未決箱)の諸案件(15〜25案件程度)を60分〜150分で処理する。

ここで押さえておきたいことは、1案件あたりの処理時間が4、5分程度であり、この間に文書を読み、判断して、文章化します。

演習時間:60分〜150分くらい(演習によって異なる)

状況設定:概ね、以下のようになっています。

立場:ある企業の一般社員(=管理職ではない)。業種や部門はインバスケットの種類により様々なものが設定されている。

突然の異動:他部門の管理者が病気などにより職務が遂行できなくなり、急遽後任として抜擢される。着任まで不在期間がある:既に決まっていた予定があり、着任まで1週間程度の不在期間がある。
*職務に固有の専門知識は必要ない内容になっている。

着眼ポイント 

  • 管理者が替わり、不在期間があっても通常の業務が止まらないように手を打つ。
      不在期間の代行者を任命
      部門をまとめるための部下への挨拶やメッセージ、関係者への挨拶
  • 不在期間に案件への対応をどこまでしておくのか、緊急度、重要度の判断が必要。
      明確な問題への対処
      不明点等がある事柄への対処
  • 着任後速やかに管理者として仕事ができるように、手配、段取りをしておく。
      管理者として仕事をするために必要な情報収集
      部下の予定や業績の把握

インバスケットとは

まず、教科書的にインバスケットの説明をします。そのうえで、書籍やネット上ではあまり書かれていないインバスケットの内容について説明します。

 
・インバスケットとは「未決箱」と言う意味で、その中には社内外の関係者からの未決案件が入っています。現在使われている演習の多くはメールの受信トレイにあるメールを処理する、という設定になっています。
・インバスケット演習の目的は未処理箱(受信トレイ)の案件を処理することを通じて、あなたの管理者としての問題解決能力や案件処理能力を評価・診断すること、その上でこれらの能力を向上させるためのものです。
・通常は口頭や電話で処理しているようなものでも、すべて文章化することが求められます。
・演習内容によりますが、演習時間は60分〜150分くらい、案件数は15案件〜25案件が一般的です。

インバスケット演習の構造
<状況設定>
 病気や事故などである部署の管理職が仕事を遂行できない事態が発生し、後任としてあなたが指名され、すぐに前任者の未決案件に取り組むことになります。インバスケットを処理する状況は「突然の異動」で「未知の部門」の管理者としての初めての仕事になります。
<インバスケット(未決箱)の案件>
 上司、部下、他部署、社外の関係者からの社内文書、報告書、提案、社外書簡、私信など、様々なものがあります。
<処理時間>
 多くのインバスケット演習では演習時間と案件数から単純に1案件あたりの処理時間を計算すると4、5分くらいになります。その間に、案件を読む→問題の本質を見極め判断をする→文章化するという作業を行います。ですから、ひとつひとつの案件をじっくり吟味している暇はなく「瞬時の判断」が求められます。また、個々の案件はバラバラで不連続なものに見えるが、大所高所から見ると関連していると思われるものもあり、大きな視野も必要です。
<インバスケット演習が使われる理由>
 瞬時の判断が求められるのですから、付け焼き刃的な予習では対処できません。実際、演習を経験した人からは「無我夢中になって取り組んだ」「あっという間に終わってしまった」という感想をよく聞きます。「この案件の処理はこう書けば良い点数がもらえるかな」なんて考える余裕はないのです。切羽詰まった時に人は自分の得意な方法、自信のある方法で対処します。ですからインバスケット演習であなたが書く文章はあなたの持ち味(特徴)が投影されます。インバスケットがこれほど多くの会社で使われるのは誤魔化しようがない、飾りようがないありのままの姿が出るからです。

 

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